精神分析のご案内 | 岡村斉恵 | 東京 上野

精神科医 / IPA認定精神分析家による精神分析および心理療法

当オフィスでのセラピーについて

 

最初に会って、心の、あるいは現実の状況の整理をし、見立ての面接を行い、継続的な面接が始まると、ここに週に2〜5回の頻度の設定でセラピーが始まります。多くの場合はカウチを使い、横になって話していただきます。そのときに心に浮かんで来たことを言葉にするというやり方なので、何の準備も要りません。治療者は基本的には黙って聞きます。沈黙に対してもその雰囲気に耳を傾けます。ときに質問や確認をしたり、感じ取ったものを言葉にして伝えたりします。それを耳にすると、またいろんな情緒や反応が出てきます。それをまた話していただく。そういう時間を通して、少しずつ、自分の心について知ることが進んでいきます。

 

シンプルに聞こえるかもしれませんが、実際やってみると、話しにくさを感じるときがあったり、イライラしたり、苦しくなったりすることがあるかもしれません。もちろん嬉しくなったり、いままで考えたことのないことが心に浮かんだりということもあるでしょう。さらにその気持ちを、伝えたくなったり、隠したくなったりというふうに、自分の気持ちに対するさまざまな感情や態度が出てきます。自分のそういった気持ちや反応をゆっくり知っていくことになります。その繰り返しのなかで、私に対して生じる感情も浮かび上がります。ここでは、治療者との間で、自分が知らなかった自分に少しずつ出会って行きます。

 

精神分析的な治療には、向き不向きがあるといわれます。一般的に、表面的には人間関係も社会的な活動もそれなりに上手くやれている一方で、充たされなさや不全感を感じているといった人のお役に立つことが多いようです。それでも、即効性を期待する方や、時間と費用が確保できない方には不向きと思われます。精神分析は、善悪や価値観の押し付けが少ない、その人らしさを尊重する方法だと私は感じています。不安や不満に飲み込まれることが減ると、混乱が減って、自分自身の心に対する視力が向上します。それはより大きな自由度で生きること、自分の限界を自然に受け入れること、など充実や平穏と関係するさまざまな感覚に変化をもたらしうるものです。

 

 

2025.09.07 Sunday